第4章 短期合宿、一日目の夜。
「まじないとかはあんま信じてねえけど、芦戸が、ここのキーホルダーはすげー力が?どうとかって言ってたから、それ、お前に良いと思って。」
「まじない…」
キーホルダーを裏返し書かれた文字を見る。
【恋愛成就】
「…れ、恋愛成就?」
「え。」
恋愛成就の文字を見せた後、轟くんは心底申し訳なさそうに「悪い、間違えた」と言う。
間違…間違う…んだ。本当は学業成就をくれる予定だったみたい。あくまで真面目に選んでくれたんだろうな、本当に、落ち込んでるみたいだ。
下を向く轟くんを見て、つい、笑ってしまう。
「ご、ごめんね。なんか…かわいいなって思って、」
「…かわいくねえ。それ、買いなおす。」
「いっ、いいよ!こういうのって気持ちが大事でしょ、ありがとね、轟くん。」
貰ったキーホルダーを眺める。
轟くん、わたしの為にえらんでくれたんだなあ、恋愛成就だけど。それが、どうしようもなくうれしくて、つい頬が緩んでしまう。
「わたし、明日も頑張るね。」
「…ああ。」
轟くんの口角がわずかに上がる。
わ、轟くんがわらってるとこ初めて見た、かも。