第3章 短期合宿
「…ッンのクソアマ…!」
「気に入らないのよね。雄英だからって自分が一番だと思ってる自意識過剰なオトコ。」
くすりと春香の表情が怪しげに歪む。
あんな春香の顔、初めてだ。
「…ッ爆豪くん!」
「…ア゛!?」
咄嗟に宙に舞う爆豪くんの元へ飛び、勢い余って抱き着く。
大丈夫、触れてしまえば、爆豪くんをフィールド内に引き戻せる。
「ン゛なッ、離せクソ女!!」
「離したら負けちゃうけど!?」
爆豪くんごともう一度フィールド内にテレポートする。
体勢を崩し、ふたりでぐしゃりと地面に倒れこむ。
「テメェ余計なことしてんじゃねえ殺すぞ!!」
「わッ、わたしが助けなきゃ負けてたじゃん!?」
爆豪くんはッチ、と大きく舌打ちした後、立ち上がり大きく息を吐いた。
この人本当にヒーローになる気あるのかな、どちらかというとヴィラン向き…というのは口が裂けても言わないようにしよう。
「おい、お前、何でも飛ばせんのか。」
「えっ、う、うん…あんまり質量の大きいものは飛ばせないけど、触れさえすれば飛ばせる、」
爆豪くんて正直あんまり考えて動くタイプに見えなかった。見えなかった、けど、これって、
考えて、くれてるんだよね。
「失敗したら殺す。」
「がっ、頑張ります!」