第3章 短期合宿
___しまった、わたしとしたことが。
ついフラグを立ててしまった。
「じゃあ次ー、爆豪&蒼井ペアと轟&草野ペアー。
ルールはさっきも説明したが相手を行動不能、もしくは一人でも場外に出したら勝ちだ。ただし怪我はさせんな、あぶねえと思ったらすぐ仲裁入るからな。」
「ッチ、足引っ張んじゃねーぞモブ女ァ!!」
「ッう、は、はい…」
ああもう最悪だ。よりによって爆豪くんとペア、しかも相手は轟くんと、春香。
先行き不安なんて話じゃない、この人わたしのことなんて眼中にもないみたいだ。
「はじめ!」
「オラ死ね半分野郎!!!」
開始早々周り全てを吹き飛ばすような爆発。この人、先生の話聞いてなかったの?怪我はさせるなって話じゃなかった?
爆風で尻もちをついてしまったわたしとは裏腹に、爆豪くんは平然と笑っていた。そんな爆豪くんを見て思ったことはひとつ、
「すごい…けど、」
フィールドの真ん中を分かつように張られた氷の壁。
あの日、ヴィランの動きを止めた氷とは比べ物にならない規模だ。
「壁作ってんじゃねえ殺すぞ半分野郎!!!」
氷の壁を爆破し、そのまま相手に突っ込んでいく爆豪くんを見て、フィールドの端に待機している親友の姿が目に入る。
まずい、あっちはちゃんとお互いの個性を把握して、作戦を立ててるんだ。
「爆豪くん待って!」
「ああ!?俺に指図すんじゃ…ッ!?」
爆豪くんが地面から生えた蔓に足を取られ、場外へ投げ飛ばされる。春香の個性だ。春香の蔓はには無害性の毒が仕込んであり、数秒の間だけ触れた対象の個性の使用を制限する。
今、爆豪くんは個性を使えない。
まずい、なんとかしなきゃ、地面に付く前に、爆豪君を助けるんだ。