第1章 恋のつぼみ 【越前リョーマ】
私がそう答えると何か不満だったようでさっきまでとは違いリョーマくんは不機嫌そうな顔になる。
何かそこまで不機嫌にさせるような発言でもしただろうか?と私は頭をひねる。
手塚くんが褒めてるという話ぐらいしかしてないのだから褒められるのが嫌なのかと思ったが、別にそんな事はなさそうだよなと考えたが答えは浮かばなかった。
「あのさ、【名前】先輩って英二先輩と付き合ってんの?」
「ぶっ」
私はリョーマくんの発言におもいっきり吹き出した。
何でそんな考えに至ったのだと思った。
「なんで!?誰に言われたの?」
「いや…。と言うか桃先輩は手塚部長と付き合ってんじゃないかって言ってたけど」
「は?桃先輩…?…あぁ、桃城くんか。いや、無いけど」
「そうなんだ」
「そうなんですけど…と言うか何その噂…」
私は何を言ってるんだという酷い表情でリョーマくんを見ていたのだろう。
最初は普通の顔をしていた彼も私がいつまでも酷い顔をしているから少し笑い出した。
と言うか、そんな噂があったことにも驚いた。
手塚くんとは部長同士で話すことが時たまあるので去年のバレンタインでやたらとチョコを持っていくようにお願いされるがそれのせいだろうか?
いや、英二にしても、そもそも英二と私もそんな色恋の話になるような事は全く無い。
今年はクラスが同じだったから彼に告白したい子に呼び出しを頼まれる事は今学期が始まってまだそんなに経ってないのに、何回かすでにあったが…。
と言うか私はもしかして来年のバレンタインは英二と不二くんへのチョコの渡しをやたらと頼まれるのだろうか…と思うと今から気が滅入る。
まぁ彼らがモテるのは分からなくもないし奥手な子が自分では無理だと言う気持も分からなくはないけれど…。
なんて私が考え込んでいるといつの間にか近くにまで寄ってきていたリョーマくんと目があった。
「ふーん、違うんだ」
「違うよ。と言うか私べつに彼氏もいないし」
「じゃあ【名前】先輩は好きな人でもいるわけ?桃先輩が【名前】先輩が告白を毎回断ってるって言ってたけど」
「なんでそんなこと知ってるの…」
「【名前】先輩、結構有名なんでしょ?何かテニス部の人、みんな知ってたよ」
「は!?」
リョーマくんの言葉についていけなかった。