第1章 恋のつぼみ 【越前リョーマ】
「えっと…何か顔についてる?」
「別に」
「そ、そう?それじゃ何か用?」
「【名前】先輩こそ」
「え…あ、あぁ。リョーマくんのテニス久しぶりにみたいなって言おうと思った」
「じゃあうちに来る?」
「え?」
「うちの家に一応テニスコートあるし…。【名前】先輩が大丈夫ならだけど」
ぶっきらぼうに返事を返すリョーマくんの頬が少しだけ染まっていて私の胸がドキドキと早鐘を打った。
いやいや、なんでこんなドキドキしているんだ?と自分に突っ込みをいれてみたが自分の胸の鼓動は鳴り止む気配はなかった。
早く静まれと自分に言い聞かせながら私はリョーマくんの家へ招待された事が嬉しく、軽い足取りで彼の家へと向かった。
***
「わ!凄い!」
私の第一声はそれだった。
直ぐ様、リョーマくん家のテニスコートに案内されたが思ったよりしっかりとしている場所で確かにテニスコートと呼んでもおかしくはない場所だった。
お寺の境内脇にこんなコートがあるなんて凄いと思った。
「これ自由に使っていいの?」
「まぁね」
「じゃあさ、久しぶりにリョーマくんとラリーしたいな」
「良いけど」
「やったあ!」
私は大はしゃぎで持っていた荷物を敷地の端へ起き、ウェアに着替えようとするとリョーマくんが慌てて止めに入る。
「ちょっと待って、【名前】先輩まさかここで着替える気?」
「え?別にYシャツ脱いですぐ下着じゃないし良いかなって」
「良い訳無いじゃん。汗かかない程度にラリーするから制服で良いよ」
「え?あ、そう?それはそれで残念だなぁ。手塚くんも褒めてたしリョーマくんの実力間近で見たかったんだけど」
私が残念そうに言うとリョーマくんはさっきまで呆れ顔だったのに驚いた表情へと変化した。
「手塚部長が?」
「うん。まぁ褒めちぎるとかではないけどいつもと比べるとそんな表情してたから」
「ふーん。【名前】先輩って手塚部長のこと詳しいんだ…」
「別に部長同士だから偶に話す機会あるだけだよ。クラスは別だし、手塚くんよりはクラスが同じの不二くんや英二の方が話す機会は多いよ」
「ふーん」