第1章 恋のつぼみ 【越前リョーマ】
確かに過去に告白を何回かはされた事がるのは事実だからそっちが噂になるのは仕方ないにしても私が有名というのはどういうことなのだろうか…。
そんなに酷い事をして人に後ろ指を指されるような事はしたつもりは一切ない。
私はリョーマくんの言っている事がイマイチ腑に落ちなかったがとりあえず誤解されたくないので否定しておこうと思った。
「恋人も好きな人もいないよ。と言うか、そう言うのよくわかんないんだよね」
「ふーん。じゃあ【名前】先輩は別に好きな人もいないんだ?」
「まぁ…そうなるかな」
私がそう答えるとリョーマくんは嬉しそうに笑った。
そんなリョーマくんを見て私の心臓がまたドキッと跳ねる。
ドキドキと心臓が煩くてバレてしまわないか心配になる。
「どうかしたの?胸抑えて」
「い、いや…なんでもないよ?」
「ふーん」
リョーマくんは私をじっくり観察していく。
そんな彼の目を見なくてもすむはずなのに私は目をそらす事は出来なかった。
まるで金縛りにでもあったかのようにその場から足も腕も体も…そして顔すら今の態勢から動けない。
心音はドキドキと煩いし、顔も心なしか熱くなってきている。
このままじゃ、きっとリョーマくんにおかしく思われてしまうと思っても私は何もすることが出来なかった。