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【短編集】テニスの王子様

第6章 Secret time【リリアデント・クラウザー】


今、私の目の前にいるクラウザーくんは申し訳なさそうな表情をしていた。
キスをされたことより、彼がそんな表情をしている方が今の私は嫌だと思った。
だから少しでも伝われば良いと思った私はゆっくりと口を開いた。

「ど、Don’t worry about it. It’s OK.(気にしないで。大丈夫。)」

上手く言えただろうか…と私の心臓はドキドキと鳴る。
流暢に喋れた自信は何ひとつもなかった。
でも…少しでもクラウザーくんに伝われば良いと、授業で習った言葉で私は彼に思いを告げたのだった。

「【名前】」

上手く言えてないと思った私は俯いていたけれど、彼に名前を呼ばれてハッとなり顔をあげる。
そこには私が思っていたよりも至近距離にいたクラウザーくんがいて驚いてしまった。

「Thank you!思いを…伝えてくれて」

嬉しそうに微笑むクラウザーくんの声音と表情で自分の言葉がちゃんと伝わっていたと判明して私も嬉しくなる。
そしてその笑顔を見て私は自信がなくて、自分の中に芽生えていた気持ちに気付かなかった事を今…自覚した。

もしかしたら彼の先程のキスは、友達に対する挨拶のようなものだったのかもしれない。
けれど私は今頑張って自身の気持ちを英語で告げられた事により己の中から湧き上がる気持ちを抑える事は出来なくなっていた。
溢れ出てくる想いも一緒に伝えたい。
そう強く思ってしまった私の口からは彼への想いが紡がれていく。

「クラウザーくん。あのね…聞いて欲しい事があるの」

私がそう告げると彼は「どうかしましたか?」と何時も通りに優しく微笑んでくれる。
その微笑みが好きだと私は思いながら彼への私の告げようと息を吸い込む。

「私…クラウザーくんの事、好きです。えっと…I love you(貴方の事が好きです)」

私が頑張って告げると彼は嬉しそうに微笑んで「me too(私もです)」と告げてくれた。
そんな私達を祝福するかのように、春風により舞った桜の花びらが綺麗に私達の頭上から降り注ぐ。
それはとても幻想的な光景だった――。

Fin.
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