第6章 Secret time【リリアデント・クラウザー】
「優しいのですね。あ…そう言えば、名前を聞いてませんでしたね」
「あ!私、【名字】…【名字】【名前】と言います!」
「【名前】…ですね。私はリリアデント・クラウザーです」
そう言って彼が私に手を差し出すので不思議に思っていると、それが握手の為に差し出された手だと気がついて私は慌てて手を彼に差し出す。
そして私達は軽く握手を交わす。それが私と彼の出会いだった――。
「へぇ…。そんな事が?」
「うん」
私はお昼ご飯を食べながら友人の【夢主友名前】ちゃんとクラウザーくんの話をしていた。
あの出会いのすぐ後ぐらいだっただろうか?彼がテニス部の外国人選手としてこの学校に留学していると聞いたのは。
この学校は積極的にそういった学生を受け入れているのが売りなので外国語科という学科もあるぐらいだった。
私は英語が苦手なので普通科の生徒なのだけれど。
そしてあれから私はクラウザーくんと廊下ですれ違うことがあり、その度に挨拶をされるので私も一言二言返事をしていた。
クラウザーくんは留学生という事もあり、外国語科にいるので普通科である私との接点は基本的にない。
だからこそ最初は周りの人達にとても驚かれてしまった。
たまたま知り合う機会があったと話してはいたけれど、ちゃんとした経緯を話していなかったなと思い出し、私は【夢主友名前】ちゃんに彼との出会うを話したのだった。
「最初はさ、驚いたよ。話題の留学生と話してるんだもん」
「そ、そうなの?」
「知らなかったの?!」
私は、【夢主友名前】ちゃんの言っている意味が理解出来ずに驚いてしまう。
そんな私を見て信じられないものを見たとでも言いたい表情で彼女は私を見ていた。
「だって外国語科の留学生の人達って同年代に見えないぐらいに大人っぽいじゃない?皆、カッコいいってよく話してるよ!?」
彼女の興奮した声音に私は驚きつつも納得してしまった。
確かに私も最初にクラウザーくんを見た時に大人っぽい人だから年上だと勘違いしてしまったなと思い出した。