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【短編集】テニスの王子様

第6章 Secret time【リリアデント・クラウザー】


校舎の外れにある花壇の世話を任されてからの事だった。
何時も通りに少しだけ早い時間に学校にやってきてジョウロに水を入れて花壇の傍まで来ると、いつもは誰もいないのに今日は見知らぬ人がそこにはいた。
どうかしたのだろうかと不思議に思い近づいて見ると蹲っている様にも見えたので私は慌ててその人へと駆け寄る。

「大丈夫ですか?!」

私がその人物へと話しかけると、その人は下げていた頭をゆっくりと私の方へとあげていく。
俯いていた顔がゆっくりと上っていくことにより、その人の髪はサラサラと流れる様に動いていく。
そして顔をあげた彼はどう見ても日本人とは違う顔立ちに私は驚いてしまい目が奪われてしまう。
目が合った瞳はとても綺麗な色をしていた。

「What's happen?(どうかしましたか?)」

そして彼から漏れ出た言葉に私は驚いてしまう。
何故なら私が英語はとても苦手だったからだ。
急に英語に返されてしまい私は、しどろもどろになりながら彼へと返事をする。

「えっと…その…あ、あい きゃんと すぴーく イングリッシュ!!」

自然と口から出てしまった言葉に私は恥ずかしくなる。
完全に発音が日本語だったし、英語出来ません!なんて、なんて馬鹿な言葉だろうかと頭を抱えていると、少しの間の後で彼からクスクスと笑い声が漏れ出していた。
私は恥ずかしくて俯いてしまった顔をあげると、優しそうに微笑みながら彼は私を見ていた。

「あぁー…スミマセン。笑ったりして?」

辿々しい日本語で返されてしまい私は再度驚いてしまう。

「日本語でお話できるんですか?」
「少しだけ…ですけどね」

私の質問に彼は気を悪くもせずに優しく答えてくれる。
その様子に私は安堵する。

「…そう言えば、何か私に御用ですか?」

彼は思い出した様に不思議そうな表情で私に話しかける。
そう言えば私は彼が蹲っている様に見えて具合が悪いのかと早とちりしてしまって話しかけた事を思い出す。
英語で話しかけられてしまった事で驚きすぎてしまってその事をすっかり忘れてしまっていた。
私は辿々しい英語を交えて、先程話しかけた理由を告げると彼は一瞬驚いた表情をしてから嬉しそうに微笑んでくれた。
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