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【短編集】テニスの王子様

第5章 嫌い×好き=? 【跡部景吾】


「ありがとう。そ、それにしても跡部くんも冗談よく言うんだね。驚いた」
「は?」
「だって昨日からそうじゃない。意外だった」

私がそう告げると一瞬だけ彼はしかめっ面をしてから、彼は私を見て不敵に笑った。
何だかそれに対して嫌な予感がしたので『跡部くん?』と話しかけようとしたが、それは叶わなかった。
何故なら私の唇は今、彼の唇によって塞がれていたからだ。

予想外だった。
何故誰もいない生徒会室で私は今、お互いにしゃがんだ状態で、あの跡部くんを口付けをされているのだろうか?
あまりに驚きすぎてしまい勢いのままに私は尻もちをつく様に床に崩れた。
お尻への衝撃が少し痛かったが今はそれどころではなかった。
私は床に座り込む形になっても彼は特に口を離す気はないようだ。

跡部くんの手ががっしりと私の両肩を抑える様にのしかかる。
段々とその重みに耐えきれず私は自分が押し倒されないように手にしていた書類を再度手放して両手をそれぞれ地面にくっつけて自身を支える体制になっていく。

どれくらいの時間だっただろうか?
もしかしたら私が驚きすぎて長時間の様に感じているだけで、本当はほんの一瞬の出来事だったのかもしれない。
でも私にとっては結構な時間が経過してから跡部くんの唇から私は開放された。

「はぁはぁ」

驚きすぎて呼吸の仕方を間違えていたので私は口呼吸で自身の息を整える。
そんな私を見て跡部くんが、フッと笑った気がした。
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