第5章 嫌い×好き=? 【跡部景吾】
結局私は、昨日の跡部くんの冗談が私の中でうまく消化できずに昨夜からぼんやりしてしまっていた私は自身のあまりの不調加減にうんざりしていた。
【夢主友名前】ちゃんにも『元気ないね?』と言われるし、隣の席の宍戸くんにも『今日は跡部に挑戦しに行かねぇのか?』なんて言われてしまった。
というか宍戸くんは私の事をどういう目で見ているのだろうか。と思ったがそれはまぁ、置いておくとしようと自身を無理やり納得させた。
ぼんやりとしていたら放課後になってしまい、部活動が今日はお休みなので気分転換に静かな場所で軽く読書でもしてから帰宅しようと中庭にやってきたらそこで寝ている慈郎くんと遭遇した。
私は起こさないように静かに腰をおろして本を読み始めたら、いつの間にか起きてきた芥川くんに『【名前】だCぃ~!』と言われて驚いてしまったのだった。
そこからは他愛もない会話をしていたのだけれども、私は意を決して彼に跡部くんの普段の様子を聞いていた。
「ちなみに跡部くんってテニス部では冗談を言ったりするの?」
「うーん。どうだろ。あんまり言わない気がする?」
考え込む仕草をする慈郎くんを私はジッと見つめる。
彼は『あ!』と声を上げたので何か思いついたのだろうかと私はドキドキしながら慈郎くんの言葉を待った。
「【名前】の話ししてる時はなんかやさC~感じする!」
「え!?」
予想外の言葉に私は驚いてしまう。
跡部くんが私の話を…そもそもするのだろうか?と、そちらの方がまず最初に疑問として浮かぶ。
あまり彼が私の話をするイメージが、そもそも浮かばなかった。
そんな私の疑問に気付かずに慈郎くんはドンドン会話を進めていく。