• テキストサイズ

【短編集】テニスの王子様

第5章 嫌い×好き=? 【跡部景吾】


だから幼い私は誓ったのだ。
私が誰よりも優秀で素晴らしい人間になれば、こういう大人たちは公には馬鹿にできないだろうと。

我ながら子供だと思う。
そんな事は分かっていた。
それでも子供の時から勉強も運動も出来る限りの事はやってきた。

自身の努力もそれなりにあったけれど、家が世間一般的に言えば裕福層にあたるからこそ出来たこともあった。
まぁ、それのせいで親戚達が口さがない噂等をし合うような馬鹿な大人が多いかったというマイナスな部分もあったけれども。

私が望めば両親も祖父母も何でも挑戦をさせてくれた。
頑張る私を見て祖父母は厳しくもあり、そして優しくもあった。
両親はどこかで察していたのか『無理はしなくて良い』と言葉をくれた。
それでも私は止める気は沸かなかった。

私は努力すれば何でも出来ると思っていた。
事実、初等部まではそうだったのだから。
氷帝学園という比較的裕福な家庭が多い学園内で私はトップクラスの人間だった。
勉強も運動も何でもやれた。
何かの大会があればなるべく参加して賞もたくさん取った。
そうすればあの大人たちに私の事が耳に入るからだ。
両親の事を悪く言えない様にしてしまえばいいと思ったから自身で出来ることは何でもやってきたのだ。

でも中等部に入学したらそれも殆ど出来なくなってしまった。
彼が、颯爽とこの氷帝学園に表れたからだ。
入学式での宣言の事は今でも覚えている。
最初は金持ちのお坊ちゃんの戯言かと内心馬鹿にしてしまっていた。
悔しいけれど、彼――跡部くんは実力もきちんと所持していたのだ。

敵わないと正直何度も思った。
それでも私はあの幼い頃に自身に誓った事を破るわけにはいかなかった私は一方的に跡部くんに挑戦し続けていた。
そんな私を見て笑う人もいれば、応援してくれる人もいたし、煙たがる様な人もいた。
特に跡部くんのファンクラブの女生徒達には最初は色々と反感もかった。
それでも気にせずに己を貫き通していたら彼女たちは影で笑いはしても直接的には何もしてこなくなったのは幸いだった。
そんな学園生活を送りながら今日も今日とても私は彼を超えるために挑戦し続けていたのだった――。
/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp