第4章 Secret feeling 【白石蔵ノ介】
「んっ…」
キスの合間に漏れ出る【名前】の甘い吐息にくらくらする。
どうにかなってしまいそうや。
自分が思っとったよりも彼女の唇は甘くて理性がドンドン崩壊していくのを感じとった。
「し、白石くん、待って」
何度目かの呼吸の為に唇を離した際に【名前】の静止の声が入る。
自身の感情のコントロールを失ってきちんと見えてへんかった彼女の顔を見ると不安な瞳が俺を見つめとった。
――お願いやから捨てんといて
そう切に祈りながら俺は言いたく無かった言葉を吐き捨てる様に彼女に浴びせた。
「嫌や…。まだ好きなんやろ…謙也のこと」
「え!?」
「……え?」
俺が自身と彼女の繋がりが切れてしまう事を恐れてずっと言えなかった言葉を口にすると予想外の言葉が返って来て俺は唖然とした。
先程まで隣にいた【名前】を組み敷いて覆いかぶさり唇を堪能しとった俺は驚いて固まってしまい、今現在俺の下におる【名前】を俺はただ見つめとった。
そんな俺を見上げながら少し乱れた呼吸を整える様に深呼吸を何度かしてから【名前】は話しだした。
「…その事でね、話があって。話してもええかな?」
その言葉を聞いて俺は俺もどう返事をしてええか分からなくなり一旦組み敷いてしまっとった【名前】を開放するように彼女の上からどいた。
そしてゆっくりと彼女は起き上がってから俺の目をジッと見て最初から話し始めた。
ずっと俺が傍にいてくれる事が不思議やったこと。
最近友達から指摘されて自身の気持ちにきちんと向き合うたこと。
俺の優しさに惹かれとること。
1つ1つ紡がれていく言葉に俺は夢でも見とるかの様な気分になっていく。
自身の都合のええ妄想やないんやろうか?と話を聞いとるうちに不安になっていく。
夢だったら嫌やと思い、軽く自身の腕をつねってみたら痛みを感じたのでこれは夢やないんやと気付くと先程までとは別の意味で俺の心臓がドキドキと高鳴っていくのを感じとった。