第1章 恋のつぼみ 【越前リョーマ】
「で、なんでおチビと知り合いなの?」
「あぁ、言ってなかったっけ?小学生の時に親戚の家がアメリカにあって遊びに行ったんだけど、そこであまりにも暇でテニススクールに遊びにいってた時に出会った」
「へぇー、その時のおチビは可愛かったの?」
「すんごく小さかったし、可愛かったよ~。本当に可愛かった。弟に欲しかった」
私が力説すると不二くんと英二は笑った。
私も力説し過ぎたなと途端に恥ずかしくなって声のトーンを落とした。
「じゃあ【名字】と越前は運命の再会を果たしたって感じなんだね」
「そんな大げさなものかな?」
「でもさでもさ漫画とかだとその後、恋に落ちるよね~」
「…いやぁ、ないでしょ?」
私が英二の台詞を否定すると少しだけ2人は驚いていた。
「いやいや、私が仮にそうでも向こうはないでしょ?」
「そんなの分からないじゃん!」
「まぁ、越前が惚れっぽい体質だとは僕も思わないけどね」
「でしょ?歳も違うし、年上って…なしじゃない?」
「そうかな~?俺はありだと思うけど」
「英二は私をからかいたいだけでしょ」
「ありゃ、バレた?」
にゃははと英二は屈託の無い笑顔で笑った。
そんな様子に毒気も抜かれてしまい私は突っ込む気力もなく私もその話はそこで終了した。
「…あれ、そう言えば英二、【名字】に何か話があるんじゃなかったっけ?」
「…え?うーん…あ!そうだ、手塚からの伝言なんだけど」
「なんでそんな大事な事早く言ってくれないの!」
「ごめん、ごめん。何かこの間延期してた部長会が今日の放課後だってさ」
「あぁ、放課後か。昼休みじゃなくて良かった」
「ね」
「ね!じゃない!もう…はぁ、副部長に言ってこないといけないからダッシュじゃん、もう!」
「あはは、頑張れ~!」
「全く!」
いくら天真爛漫とは言えさすがにこんな大切な事を忘れられたらたまったもんじゃないなと思った。
不二くんも何か英二が忘れてるなら早めに言ってくれれば良いのにと心のなかで悪態をついておいた。
そしてこれ以上、英二を責めても意味はないと判断し、私は直ぐ様席を立ち別のクラスにいる副部長に話をつけにいったのだった。
お陰で無駄に走る事となり少し英二を恨めしく思った。
***
「はぁ…やっと終わった」