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【短編集】テニスの王子様

第4章 Secret feeling 【白石蔵ノ介】


きっと赤く染まった頬で察してくれたのやろう。
『謙也に恋でもしたの?』
その言葉だけで私の心臓が破裂してしまいそうな程にドキドキと高鳴ってしまい思わず『へ!!???』なんて奇声を出したのは今でもよく覚えとる。
そんな私を見て友達である、【夢主友名前】ちゃんは笑っとった。

もうその出来事から1年は経っとるのだなと私はぼんやりと教室の窓から懐かしい記憶を呼び起こしとった。
『【名前】』
ぼんやりとしとると名を呼ばれて外を見とった顔を教室側へと動かすとそこには私を呼ぶ彼が立っとった。

「白石くん」

私がそう呼ぶと彼は『待たせてすまん』と謝罪する。
それに対して私は『そないに待ってへんし』と答えながら首を左右に振った。
ほんで私は机に下げとった通学用の鞄を手に取り立ち上がる。
そんな私を見届けてから白石くんは私の隣に立つ。
ほんで私達は一緒に歩き出した。

季節はもう秋から冬へと差し掛かるぐらいになっとった。
廊下に出ると窓は閉まっとるはずなのに冷たい風がぴゅぅと駆け抜けていくのを感じた。
そんな状況を不思議だなと思いながら私は白石くんと一緒に帰路へつく。
こうやって一緒に帰るようになって季節も梅雨から夏、夏から秋、ほんで今、秋から冬へと差し掛かろうとしとるのだなと感慨深く思った。

校舎から出るとより一層に寒さは増した。
校舎内におる時よりも直に風を体に感じて身震いしてしまう程や。
こないにも冷え込むとは朝の天気予報で言っていなかったさかい私はマフラーも手袋も持ってきておらん事を今物凄く悔やんだ。
『はぁ』とため息をつくと、ふわりと私の首元に温かい感触がする。
驚いて振り向けば、いつの間にか私の隣に来とった白石くんが笑いながら私の首にマフラーを巻いとった。

「え!?」
「寒いんやろ?これで良ければつこうてええで」
「そんな!白石くんが寒いから持ってきたんやないの?」
「俺はええよ。その代わりに手、繋いでもええ?」

そう言って白石くんは私の手をギュッと握る。
驚いて彼を見れば嬉しそうに笑っとったので私は何も言えなくなってしまった。
別に彼と手を繋ぐことが嫌なわけではあらへん。
ただたんに気恥ずかしかっただけ。
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