第4章 Secret feeling 【白石蔵ノ介】
白石くんはとても素敵な人やと思う。
四天宝寺中学に通う女子生徒にアンケートを取ればきっと殆どの生徒がそう答えるであろう人物だ。
整った顔立ち
親切で優しいところ
完璧であるテニスをするところ
2年生の時から強豪テニス部の部長を務めとるってころ
成績も優秀なところ
色々とええ面をあげればキリがないやろう。
そんな素敵な人物に私は告白をされてしまっとった。
正直驚きでしかあらへんかった。
特にクラスでも目立つような存在でもなければ、部活動で秀でた成績をあげたこともなく、学業成績も中の中ぐらいで普通。
顔だって別に特別にええわけではあれへん。
スタイルだって典型的で平均的な中学3年生女子生徒だ。
お笑いセンスも秀でとるわけでもなく、運動神経抜群なわけでもあらへん。
何処にでもいる中学3年生
平凡な生徒
模範的な生徒
それが私。
そんな平凡な私は白石くんに告白されて一緒におるようになった事には、とある出来事が関係しとった。
ほんまは私はずっと密かに想っとった人がいたのだ。
勿論その相手とは恋人でも何でも無い。
ただ静かに私は去年からずっと…忍足謙也くんに片想いをしとった。
きっかけはお昼の放送やった。
1年生の時からずっとおもろい放送をしとる人がおるなと思っとった。
そんな彼をたまたま知ることがあったのは2年生になってからやった。
友達に誘われてテニス部の練習を覗いた時にあの放送から聞こえてくる声がしたのだ。
反射的にその声の方角に目を向ければ、コートの中をむっちゃ早いスピードで駆け抜ける人物がそこにはいた。
綺麗に相手のコートへとボールが決まった所やったらしく、嬉しそうにわろた彼の笑顔に私は一瞬で恋に落ちた。
ドキドキとなりやまへん心臓に、最初はどうしてもうたのかと思ったぐらいだ。
無言で胸を抑えながら、一点を見つめとる私に友達は不思議そうに『どないしてん?』と質問をする。
それに上手く答えることも出来んかった私を見て友達は視線の先の人物を見る。