第1章 恋のつぼみ 【越前リョーマ】
「ねぇ、【名前】先輩?」
「な、何?――え!?」
私が返事をすると同時にリョーマくんは一気に私との間合いを詰める。
そして私の頬に、少しだけ背伸びをして口付けた。
私はその事を理解するのは彼が私から離れた時だった。
「え、ちょ、ちょっと!え!?」
「【名前】先輩もまだまだだね」
「え、ど、どういうこと!?」
私が触れられた頬を抑えながら混乱しているとリョーマくんはニヤッと笑った。
「俺、本気だから。ずっと昔から好きだったし。諦めるつもりもないから」
「え、あ、うん」
「じゃあラリー始めよっか」
そう言って何事も無かったかの様にリョーマくんはコートの反対側へと歩いて行く。
私はその彼の背中をボーっと眺めていた。
ただ心臓の音がさっきよりもドキドキと煩くて私の胸は破裂しそうだと思った。
先ほどの『諦めるつもりないから』と言って生意気そうに笑うリョーマくんは私が今まで見た中で1番かっこよくてそして生意気だった。
でもそんな彼を見て私がテニスを初めたきっかけは彼だったと思い出すと同時に、きっと私もあの時からずっと彼に恋をしていたのだろうなと気付いた。
それでもこの気持ちに今はまだ自分がついていけなくてもう少しだけ待ってて欲しいと心の中で彼にお願いをした。
リョーマくんと私の恋のスタートまできっとあともう少し。
Fin.