第6章 ◆湯浴み絡み ★☆☆☆☆
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二人は暗い本丸の中を歩き、取り決めどおりに湯殿へやって来た。
普段は主が先に一番風呂に入ってから、時間をずらして刀剣男士たちが入浴することになっている。
そのため、彼女は男と風呂を共にするなどもちろん初めてだった。
脱衣場に二人で入るも、どちらも服を脱ごうとはしない。
「……主。どうしますか」
長谷部は主にそう尋ねた。
彼の顔はこれ以上ないくらいに赤く、そして瞳は熱っぽく揺れていた。
いつもはリードできる彼も、この状況は戸惑うばかりである。
「…ど、どうしましょう…」
主も同じく、すでに茹でダコのような顔である。
そもそも、彼女はここへ来るまでイメージできていなかったが、長谷部の前で裸になるのは初めてなのである。
今まで長谷部は、主の着物をすべて取り払うようなことはせず、隙間から手を入れるに留めてきた。
それは彼女の尊厳を守るためである。
しかし、ここではそうはいかない。
主は、長谷部に見られながら着物を脱ぐ勇気は出なかった。
「長谷部さん、先に入って下さい。私は後から入ってきますからっ」
「……かしこまりました」
──バサッ
すると長谷部は、自棄になった様子で服を脱ぎ始める。
主は圧倒している間に、目を覆ったり顔を背けるタイミングを失い、その様子を固まったまま見ることになってしまった。
長谷部はその羞恥に耐えながら、あっという間に全裸となる。