第6章 ◆湯浴み絡み ★☆☆☆☆
「長谷部さん。私、大丈夫です。それにこれは政府からの通達ですから、従うしかないんじゃないでしょうか」
主は首を縦に振らなかった。
長谷部に対してなら、きっと不快に思うことなどないと確信していたのだ。
この行為は長谷部に快感を与えることができると聞かされたのだから、それをやらない選択はない。
「…しかしっ…」
「私、今までのことを振り返ってみて思うんです。夜伽って、お互いを労る心が大切なんじゃないかって。心の壁を取り払って、本当の意味で体を繋げることで、御霊を得られるのではないでしょうか。……長谷部さんの私への遠慮を取り払うことが、今回の通達の真意だと思います」
主の意見は真っ当なものだった。
それは彼女が常々感じていたこと。長谷部は近侍として自分を特別扱いしてくれるが、主だって彼を特別だと思っているのだ。
夜伽の中で、相手を気持ちよくしたいという心は同じように持っている。
それを遠慮されては、同等ではない。
「……………主…」
「ね? 長谷部さん…大丈夫ですから…」
彼女の指が座り込んでいる長谷部の股関へと伸びていき、その指先は膨らんでいる部分に優しく触れた。
「待っ…待ってください!」
長谷部はそれを途中で止める。
少し触れられただけで体は反応しているが、息を切らし、どうにか彼女を押し戻した。
「長谷部さん?」
「…分かりました。ですが、せめて…湯殿で致しましょう。身を清めては来ましたが、主を汚すわけにはいきません」
「湯殿…ですか? …分かりました」
この部屋以外で、とは初めてだ。
主は長谷部と湯殿に入るという状況に胸が鳴りつつ、それが彼の条件なら、と頷いたのだった。