第6章 ◆湯浴み絡み ★☆☆☆☆
主は、指さしている部分を見てから、さらに彼の顔に視線を戻し、目をまん丸く見開いた。
「…へっ?」
数秒遅れて、やっと顔が赤くなる。
彼女はすぐに想像をしたものの、どんな体勢でするのかすら思い浮かばない。
長谷部も前髪を握りあげながら、紅潮した顔を彼女から逸らした。
「主、この指示はあり得ません…。俺はとても貴女にこんなことはさせられない。言語道断です。狐が外にいるでしょう、何とかならないものか話をしてきますので待っていて下さい」
長谷部はそう言って腰をあげようとする。
主は考える間もなく一旦彼の腕を掴んで引き留めた。
「主?」
「待って下さい、長谷部さん。させられない、って…どうしてですか? 今までは大丈夫だったのに…」
「いえ! この行為はあまりに主の尊厳を無視しています。いいですか、口淫とはつまりは奉仕です。主に一方的に無理を強いるだけで、今までの労りあう行為とは違います」
「……でも、今まで私は長谷部さんにたくさん気持ち良くしてもらいました。今度は私が奉仕をする番ということではないでしょうか」
「ですから! 主に奉仕をさせるなど、俺にはできません!」
丁寧な口調でも感情が爆発している長谷部に、主は叱られたように感じた。
悲しげな表情を見せた彼女だが、もう一度、長谷部に尋ねた。
「……奉仕をすると、長谷部さんはどうなるんですか? 気持ち良くなってもらえないんでしょうか」
「主…それはっ…」
「私では力不足…迷惑ということですか…?」