第6章 ◆湯浴み絡み ★☆☆☆☆
主は読み終えたが、字面からはまるで指示の内容が分からなかった。
知識が不足しているため、『口淫』に関して口付けと区別さえついていない。
一方、すべて理解した長谷部のほうは、もちろん大混乱の真っ只中である。
「長谷部さん…あの、これは…」
主がそう尋ねるも、長谷部は口元を手のひらで多いながら通達に何度も目を通している最中だった。
「そんな…これはいくらなんでも…」
「長谷部さん?」
「……あり得ないだろう……任意なのは俺から主へ……なら、主から俺へは必須……? いや、無理だ…主にそんなことをさせるなんて…」
長谷部は混乱のまま、ブツブツと呟いている。
主はそれをしばらく見守ったが、もう一度、「どんな指示か分からないので説明してもらえますか」とお願いをした。
彼は心底困ったように、そして主を直視できずに目を泳がせながら、説明を始めた。
「………口淫というのは…口や舌を使って、相手に快感を与えることです」
「それって、いつもしている口付けのことですか?」
「それとは違います…。その…主から俺へ口淫する、というのは…つまり……」
長谷部は指をさす。自身の股関を。
「口に含むということです。……主が、ここを」