第6章 ◆湯浴み絡み ★☆☆☆☆
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翌朝、障子の隙間からさす朝日で目が覚めた。
今日は演戦だし、もう起きなきゃ…。
体を起こすと、障子の向こうにぼんやりと人影が見えているのに気づいた。
…藤色の背中。
「長谷部さん、ですか?」
彼は私が起きるまで待っていてくれたんだろうか。
障子の隙間から、気づいた彼の口元だけが覗いている。
「主。遅くなりましたが、昨夜戻りました。深夜でしたので朝方のご報告になりましたことお詫び致します」
「いえ、無事で何よりです。おかえりなさい」
「本日は演練の予定が入っていますので、準備をお願いします。俺も同行します」
「はい。お願いします」
カタン、とかすかな音だけで彼は立ち上がると、障子の外で一礼をしてからその場を去った。
…ぎこちなかった? ううん、今日は大丈夫だったよね。
長谷部さんとどう接したらいいか掴めないまま、私はとりあえず朝の準備を始めた。