第1章 ◆夜伽の通達 ★☆☆☆☆
『夜伽』という言葉を受けて、長谷部は無意識に、彼女の体を上から下まで目で追っていた。
彼女は刀たちの時代に合わせた着物を着ており、それはしっかり着付けられているが、その中に隠された体を、もし見ることができたなら…。
長谷部はゴクリと喉を鳴らした。
(…… だめだ、主に、そんなこと……)
許されるのか? と呆然と考えたが、これは政府の通達なのだから、許されるというより、むしろ強制されていること。
そこまで考えが及ぶと、長谷部は尋常でないくらいに心臓が音を立て、下半身が脈を打ち始めたのを感じた。
「主っ…」
目が回るくらい、この事態に冷静ではいられない。
通達の内容は理解した。
しかし、主がそれをどう思っているのか、まずはそれが気になって仕方なかった。
彼女が『困らせてしまう』と危惧したのは、主自身がこの通達に困っているからではないだろうか。長谷部はそう思い、わずかに胸が痛みだした。
しかし、こんな夢みたいな機会は、これを逃せば二度と来ない。
長谷部は自分のそんな欲望が声を上げているのを、キリキリと痛む胸の中で聞いていた。
「主は、その、どう思っておられるのでしょうか…。も、もし……主命とあらば、俺は…」
主命であれば、従う。
彼女が困らないように、本当は願ってもないことなのに、そう言った。