第5章 ◆涙と語らい ★★★☆☆
『四夜目
互いについて語らい、理解を深めること。過去の手順を行うことは自由である。』
夜伽じゃない…?
「な、なんだかいつもの通達と違いますね。長谷部さん、どう思います?」
「俺にもよく分かりませんね…。互いについて語らうというのは、一体どういうことでしょう」
これにはさすがに長谷部さんも首をかしげていたけど、指示どおりにしなければならない。
互いについて語らうっていうのは、つまり、お互いがどう思ってるのかを知るっていうこと?
それって、私がちょうど気になって悩んでたことだ。
…なんだかどこかで見られてるんじゃないかってくらいの調度良さ…。
でも、夜伽によって霊力を高めるための修行なわけだし、お互いを理解することは大切なのかも。相手の気持ちが分からないままじゃ、どうしても上の空になっちゃうし。
こんな機会もうないかもしれない。
よし…!
「あの、長谷部さん」
「は、はい」
「改めて、なんですけど…長谷部さんのことどう思ってるのか、お話しますね」
「えっ、は、はいっ」
「私、長谷部さんのことすごく信頼していて、こうして夜伽のお相手を務めて下さることも感謝しています。いつも気にかけてくれるし、優しいし…あの…」
「主! 俺も同じです! 俺も…主のことを、その…いつも感謝しています」
どうしよう…
これじゃいつもと同じだ。
本当の本当はどう思ってるのか、ちゃんと話さなきゃいけないのに…
「は、長谷部さん、あの、私…」