第5章 ◆涙と語らい ★★★☆☆
私は本気で悩みを打ち明けたのに、燭台切さんは軽く笑っている。
「そんなこと心配してたの? 全然大丈夫だよ。むしろ願ったり叶ったりなんじゃない? 長谷部くんは主のこと好きなんだから」
「……え?」
聞き間違えかと、燭台切さんを見た。
彼は自分の口を押さえて固まっている。
「…………あ、ええと、だから……うん。審神者として、ね。主のことすごく好きだと思うよ」
「そ、そうですよね、審神者として、ですよね」
びっくりした…。
「主もさ、気になるならちゃんと気持ちを聞いてみたら?」
「えっ…」
「長谷部くんが主の役に立とうとするのは、近侍だから仕方なくじゃないよ。主のことを慕う気持ちがあるから、頼ってほしいって思うんだよ。自分のことどう思ってるのか聞いて、じゃんじゃん頼っちゃいな」
長谷部さんの気持ち、か…。
たしかに、ちゃんと聞いたことはなかったかも。近侍だから私を助けてくれるんだと思ってたし、長谷部さんも「近侍ですから」としか言わないし。
近侍と審神者っていう立場じゃなくて、私自身のことをどう思ってるのか、知りたいな…。