第5章 ◆涙と語らい ★★★☆☆
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翌日。
「燭台切さん。畑仕事お疲れ様です」
縁側で休んでいた燭台切さんを見つけ、お茶を持っていった。
「ああ、ありがとう主。そっちは一段落ついたの?」
「はい。少し時間がかかってしまいましたが、終わりました」
彼は穏やかな笑顔で、隣に座るよう促してくれる。
私はそこへ座ると、報告やら書類整理やらで疲れた肩を回してみせた。
「いつもは長谷部くんに手伝ってもらうのに、昨日から一緒いるところを見ないね。何かあったの?」
す、鋭い…
「いえ…特には…」
「そう? 長谷部くん、昨日からすっごい暗い顔で本丸をうろついてるよ。主と何かあったのかと思ってた」
暗い顔で? どうしてだろう。
「そうですか…。連日、私に付きっきりになっていたので、昨日は長谷部さんにお休みしていただいたんです。なるべく頼らないように」
「えぇ? どうして?」
「私、長谷部さんに甘えすぎていて…近侍としてのお役目以上に頼ってしまっている気がするんです。こんなことでは、いつか長谷部さんに愛想をつかされてしまうんじゃないかと…」