第4章 ◆愛撫の快感 ★★★☆☆
それってすごく…悲しいな…
「主…!?」
「ご、ごめんなさいっ…」
思わず涙が出てしまい、目元を拭って長谷部さんから顔を背けた。
泣いちゃだめだ。
長谷部さんが私とこんなことをするのは特別な意味はなくて、近侍だからだって、最初から分かってたことじゃない。
今さらこんなにショックを受けるなんて、だめなのに…
「主! 申し訳ございません! 立場を弁えず主に無礼な言い方を致しました…!」
「いえ、いいんです…私が審神者としての自覚が足りなかったから…」
「なぜそうなるのです! 主は何も悪くありません…! あのっ、申し訳ありません、本当に、主を傷付けるつもりはっ…」
慌てる長谷部さんの手が宙を浮いて、戸惑いながら私の両肩へと添えられた。
優しいな…長谷部さん。
私ったら、それに甘えてばかりで…。子供みたいにねだってみたり、こうして山姥切さんに勘違いされて、不快な思いをさせてしまって…。
「あの…長谷部さん…」
「はい!」
「私…長谷部さんに謝らなきゃ…」
「主が謝ることなど何もありませんっ!」
長谷部さんがどんなに嫌になっても、この夜伽はこれからも続けなければならない。
それは私のせい。
私が長谷部さんを好きになってしまって、近侍にしてしまったせいだ。
「長谷部さんを、近侍に選んでしまって…申し訳ありませんでした…」
「………主…そんな…」
長谷部さんはそれ以上は何も言わず、ただ下を向いていた。
私が「今日はもう、寝ましょうか」とどうにか提案してからしばらくして、彼はゆっくりとこの部屋を出ていった。
すれ違うとき、長谷部さんは「申し訳ありませんでした」と力なく呟いた。