第4章 ◆愛撫の快感 ★★★☆☆
「山姥切さん…?」
彼は多分、ここに長谷部さんがいることには気づいていない。
「いけません山姥切さん! 主さまはお仕事中でございます!」
こんのすけさんの声もする……。
「少し話をするくらいいいだろ。離せ」
こんのすけさんが止めているせいで、山姥切さんは部屋へ入って来れないらしい。
……って、ちょっと待って!
「や、や、や、山姥切さん! どうしたんですか!? こんな夜分に…」
慌てて衣服を整えた。太ももの内側の湿り気もゴシゴシと拭い、ここで何をしていたのかをバレないように、頭が真っ白になりながらもバタバタとその痕跡を消す。
「アンタに聞きたいことがある。昨晩言っていたことだが」
しかし、山姥切さんが障子の外でそう言いかけたところで、隣で黙っていた長谷部さんが立ち上がった。
そして、障子を開けた。
「長谷部!?」
「……何の用だ、山姥切。こんな夜遅くに主の部屋を訪ねるなど、一体何を考えている」
「昼間だと忙しいと思ったからわざわざ夜に来たんだろ。…長谷部こそ、なんでここにいるんだ」
わ、わ…どうしよう…
「俺は主の近侍だ。主がご相談下さることがたくさんある」
「……本当にそれだけか?」
山姥切さん…。
私が出てこないことを不審に思ったのか、山姥切さんは長谷部さんの隙間からこちらの様子を伺っていた。
私は恥ずかしくて、衣服をキュッと押さえながら、目が合わせられなかった。
「……なんで布団が敷いてあるんだ、主。仕事中なのに寝間着で……長谷部、アンタもいつもより随分と乱れてる」
ど、どうしよう…
「俺と主の問題だ。山姥切、貴様には関係ない」
「長谷部、お前っ……!」
私はたまらず立ち上がり、ふたりのそばへ駆け寄っていた。
「ま、待って下さい山姥切さん…! これは…!」
「主! 長谷部に何された! まさか…」
「違うんです、長谷部さんは、長谷部さんは何も悪くないんですっ…」
顔が熱くなりながら必死で山姥切さんの腕にすがると、布の中の彼の顔が恐ろしく変わっていく。