第4章 ◆愛撫の快感 ★★★☆☆
「主…」
主のこぼす艶やかな声を聞きながら、俺は仰せのとおりにしばらく指での愛撫を続けた。
…主は、俺が想いを告げたらどうするのだろう。
聞かなかったことにされてしまうだろうか。…いや、主はそんなことはしない。
優しい彼女は、どんなに困惑しようとも、慈愛に満ちたお言葉を下さるだろう。
もちろん、受け止めてもらえるなどとは思っていない。
こんなもの、本来なら主に向けて抱いて良い感情ではないのだ。
…しかし、こんなことを続けていれば、いずれ耐えられなくなる。
もう、主を俺のものにしたい。
他の男にこんな顔を見せるのも、声を聞かせるのも、我慢ならない。
俺の欲求はここまで大きなものだっただろうか。
主の近侍にしていただけただけで幸せだった。彼女のために戦えるだけで、優しいお言葉をかけてもらえるだけで十分だったのに。
俺は、もう──
「長谷部さん…?」
「………えっ」
「ど、どうかされましたか…?」
息を切らしながら、主は不安げに覗きこんできた。