第4章 ◆愛撫の快感 ★★★☆☆
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今夜は主との夜伽の日。
あともう少し経ったら部屋へ行かなければ。
昨夜、主は遠征から帰った山姥切の傷を癒すため、一晩中手入れ部屋に籠っていらっしゃったようだから、おそらくお疲れだろう。
甘いものでもご用意して行くか。
……大丈夫だ。山姥切なら、心配ない。
彼は主の初期刀だから、主も信頼を置いているだけ。
俺より出会いが早かっただけのことで、奴は主と特別な関係などではない。
─『私が一番信頼しているのは、長谷部さんですから…』─
主もそう言っていた。
俺はまたその言葉を思い出し、体が熱くなる。
俺は燭台切から、桃を型どった練り菓子を調達し、主の部屋へと向かった。
「…主、よろしいですか」
「はい! 長谷部さん、入ってください」
……主、ずいぶんと元気なお声だ。
障子を開けると、機嫌が良さそうに微笑んでいる主が迎えてくれた。
「長谷部さん、それは何ですか?」
「練り菓子です。連日お疲れかと思いましたので」
「わあ、ありがとうございます…! お茶を淹れますね」
可愛らしい表情で練り菓子をお口に運ぶ主に、こちらも頬が綻ぶ。
甘味を召し上がるときの主は幸せそうで、見ていると心が落ち着いた。
「何か良いことでもありましたか?」
俺がそう問いかけると、主はふふ、と笑った。
「はい。……昨夜、少し」
昨夜……?