第3章 ◆甘い口付け ★★☆☆☆
『長谷部さんとなら、いつまででもしていたいくらい』
─ドクン ドクン─
……勘違いするな。
それはあくまで、通達があった場合、という話。
普段の近侍と審神者の関係のまま、したいという意味ではないはずだ。
俺は何を、舞い上がって……。
ふらふらと自室まで歩き、戸を開けようと手を伸ばしたが、俺はその場に座り込んだ。
「………くそっ…」
下半身の激しい主張。欲望が張り裂けそうになっていた。
─ドクン ドクン─
下半身だけじゃない。胸が苦しい。
主のことを想うだけで、立っていられないほどだ。
なんとか立ち上がって素早く自室に入り、後ろ手で戸を閉めると、さらにそこにズルズル落ちていくように腰を下ろす。
「ハァ…ハァ…」
股関に手を突っ込んで、そそり立った自身を取り出し、高まったままそれを扱きあげた。
おさまらない欲求を絞り出す解放感。それにあの純真で綺麗な主を想像して高みに昇っていく背徳感。
たまらない……!
ああ…主、主っ……!
好きです、あるじ……!
『今日の口付けは、私はすごく気持ち良かったです』
俺もです……!
俺も……!
たまらなかった!
『長谷部さんとなら、いつまででもしていたいくらい』
俺も、いつまででも、貴女とっ……!
「ああっ……!」
欲望を吐き出した体はぐったりと沈み込み、乱れた呼吸がしばらく部屋に響いていた。
……主は知らないだろう。触れ合うだけで俺はこうなってしまうのだ。
夜伽の通達が出てからのことではない。
貴女への想いを自覚してから、もうずっと、俺は……。
折った脚の間に顔を埋め、罪悪感に耐えるように、俺は目を閉じた。
──今夜もまた、眠れそうにない。