第1章 ◆夜伽の通達 ★☆☆☆☆
審神者である私の力になりたいと思ってくれているから、彼は私にこんな顔を向けてくれる。
私の想いとは同じではないと分かっているけど、そんな顔をされると、つい胸がキュンとするものだ。
「…近侍はこれからも、長谷部さんにお願いしたいです。私が一番信頼しているのは、長谷部さんですから…」
まるで愛の告白をしているようで恥ずかしくなり、少し顔が熱くなった。
…でも、こんな機会でもなければ、伝えられない。
「主…」
「いつもありがとうございます、長谷部さん。すごく感謝しているんですよ。…長谷部さんに支えられているので、私は審神者でいられるんです。長谷部さんがいなかったら、私はきっと…」
「……主っ…あの、嬉しいのですが、それ以上言われると、俺は…」
感謝を伝えるという名目で彼への気持ちを言葉にすると、長谷部さんは真っ赤になって目を逸らした。
私の言葉に喜んでくれる。私が審神者でなければこんなことはなかっただろうけど、それでも、私の言葉で喜んでもらえるなら、いくらでも言ってあげたい。
「遅くなってしまいましたね。引き留めてごめんなさい。…おやすみなさい、長谷部さん」
「…ええ、こちらこそご馳走さまでした。ゆっくりお休みになって下さい、主」
彼の顔をもう一度見て、名残惜しい気持ちを抑え笑顔を見せると、ゆっくりと襖を閉じた。