第1章 ◆夜伽の通達 ★☆☆☆☆
しばらく二人で戸の外を見ながら、お茶を飲んでいた。
とても静かで、ゆるやかな時間。長谷部さんは何を考えているかな。
隣の私がこんなにドキドキしてるなんて、きっと思ってもいないだろう。
「…あ、そうだ、長谷部さん。政府から通達が来ていたんです」
「通達?」
彼のさらに隣に近づき、懐にしまっていた通達の紙を広げた。
彼は机に湯飲みを置き、それを覗くと、一読してすぐに眉を寄せた。
「……これは」
「珍しいですよね、『明朝までに、近侍を一番信頼できる者に変えよ』なんて。てっきり任務かと思ったのですが…」
「…あ、あの、それで、主はどのように…」
まるで子犬のように、「主は近侍をお変えになるおつもりですか?」と不安そうな顔を向けてくる長谷部さん。