第3章 ◆甘い口付け ★★☆☆☆
……しかし、今夜はそれは許されない。
「怒ってなどいませんよ、主。……お体の疼きは心配されることはありません。夜伽をするなら、自然なことですから」
「本当ですか?」
主はホッとした柔らかい笑顔を見せた。
……ああ、可愛いな。このお顔は、いつも俺の些細な迷いごとを吹き飛ばしてくれる。
優しい彼女は、誰にでも微笑みかける。
出陣した者を労い、怪我をした者に付き添い、悩みを打ち明ければ誰であろうと力になる。
彼女のそんなところを審神者として尊く思いながらも、男としては身が焦がれるばかり。
……はやく、俺だけのものにしたい……。
「あの、長谷部さん。今日はそろそろ休みましょうか」
「え?……はい」
欲求が高まったところで終わりを告げられ、俺は下半身を静める準備をした。
…今日はこれで終い、か…。
「あ、長谷部さん、最後にちょっとだけいいですか?……お嫌かもしれませんが…」
「はい?」
主は突然、立ち上がっていた俺のそばにそろそろと寄ってきて、顔を近づけてくる。
……え……?
─ちゅ…─
唇に、控えめな口付けをされた。