第3章 ◆甘い口付け ★★☆☆☆
俺は彼女の言う“身体が疼く”とは一体どういうことか自覚したとたん、自分の下半身にも熱が立ち昇っていくのが分かった。
「……主。それは俺を、試していらっしゃいますか」
荒くなる呼吸を抑え、思ったことを問いかけた。
主がそんなことをするお方ではないことは分かっている。でも、彼女は無意識でも、俺はこの状況に間違いなく試されている。
「試す……? いえ、あの……?」
長い時間舌を絡ませる口付けをしていただけでも、俺は自分を抑えることに必死なのに。
こうも主が、無自覚に俺を煽るのでは……。
「…あまり男を前に無防備になってはいけませんよ」
「長谷部さん……?」
今、俺を抑えているものは、主に手を出せば他の男が夜伽をすることになるという定めだけだ。
それがなければ、とっくに、疼くというその部分に手を伸ばして、舌を這わせて、そして……俺のものにしているはず。
主……。
「長谷部さん…なにか、怒ってますか…?」
彼女の脚はぎこちなく動き、その疼きをご自身で解消しようとされている。
……教えて差し上げたい。
それはご自分ではどうにもできないのですよ、主。
俺に身を任せてさえくれれば、どんなことでもして差し上げます。
一晩中、ずっと貴女の体に奉仕をしたっていい。