第3章 ◆甘い口付け ★★☆☆☆
今したばかりなのに、柔らかい感触がすぐに名残惜しくなる。
「…主…」
長谷部は許可を求めるように、もう一度彼女に顔を近づけた。
主はそれに気づくと肩を小さくすぼめ、震えながら目を閉じ、またすぐに唇が重なった。
「ん……」
今度は少し長い。
(口付けって、こんなに気持ち良いんだ…)
唇をつけているだけなのに、それが長谷部のものだと思うと、彼女は身体中が疼いていくのが分かった。
口先が触れるだけだった口付けだが、長谷部のほうからわずかに動きを加え始め、角度を変えながら、より唇を密着させていく。
「ん…」
ふわりとした表面の感触だけだったのが、今度は唇の裏の湿り気が混じりだした。
─ちゅ……─
その湿りを感じると、二人は同時に、ピクリと反応した。
「…んっ…」
主は露骨に真っ赤になり、唇を熱くさせている。
この仕草から、長谷部は徐々に余裕がなくなっていき、長い口付けをついばむような細かいものへと変えていった。
ちゅ…と湿った音を何度も鳴らし、角度を変えて口付ける。
唇が離れてもすぐに捕らえられ、彼女は激しくなっていくそれを受け入れることで精一杯だった。