第3章 ◆甘い口付け ★★☆☆☆
(あるじ…主、可愛いっ…)
我慢できなくなった長谷部は、彼女の息継ぎの瞬間をねらい、
「ん、んっ…!?…ふぁ…」
舌を侵入させた。
──な、なにっ…?これっ…
今までかすかな潤いに身を震わせていたのに、それがいきなり、ぬるりと口の中に滑り込んできた。
─ちゅ…ぺろ…─
「ん、んん、んっ…」
すごい…。
長谷部さんの舌が、私の口の中で動いてる。
─ちゅ…ぴちゃ…─
だめ、腰が抜けちゃいそう…。
甘い刺激に耐えきれなくて、全身の力が抜けていく。
すると私が後ろに倒れていかないよう、長谷部さんの腕が抱き寄せてくれた。
口付けは止まず、長谷部さんはまるで私の口内を味わうかのように、悩ましい表情をしながらゆっくりと舌を絡めている。
「はぁっ…ん、ふぁ……」
彼の腕の中でも力が入らなくて震えていると、頭をぐっと押し付けられて、より深く密着する。
どうしよう…気持ち良い…。
「…ん…」
私は自分からも、ほんの少しだけ舌を差し込んだ。
「っ……あるじ」
長谷部さんの体がピクリと反応したのが分かる。
薄く目を開けると、彼もちょうど目を開けたところだった。
「…はせべさん…」
口付けの合間に名前を呼ぶと、彼は熱のこもった視線で私を捕らえ、すぐにまた舌を絡ませてくる。
口の中が自分の下半身と繋がっているかのように、甘い刺激は電流のごとく体に流れ込んできた。
モジモジも脚を動かし、その刺激に耐える。
─ぴちゃ…ぴちゃ…─
「んっ…長谷部、さ…ん、ふぁ…」
「…主っ…もっと、舌を絡めて…」
求められる言葉をかけられるたび、全身が熱くなる。
知らなかった。これが口付けなの……?
想像していたのとは全然違う。
もっと、もっと、長谷部さんと深く繋がりたい。
もっと欲しい……。
気づけば彼の首に腕を回して、しがみつきながら口付けに酔いしれていた。
長谷部さんもそれに応えてくれる。
唇の端から、どちらのものか分からない唾液が流れ出すほど。
それでも、止められなかった。