第1章 ◆夜伽の通達 ★☆☆☆☆
「もちろん、とても頼りにしています。編成の提案とは、どのようなことですか?」
「はい。まず、打刀の割合ですが……」
彼はとても納得できる分かりやすい説明で、編成の訂正案について私に指南してくれた。
私の考えがどんなに浅はかでも、彼は馬鹿にしたり、呆れたりせずに、丁寧に向き合ってくれる。
柔らかく聞き心地のいい彼の声を、頷いて聞いていた。
私が理解しているか確認するように、途中で何度も目を合わせ、彼も話しながら頷いてくれる。
長谷部さん…。
「主?」
「は、はい。経験を積んだ打刀を少数に据えて、短刀の皆を順に出陣させるべき、ということですね。夜の戦が多くなりますから、私もそうすべきだと思います。ありがとうございます、長谷部さん」
「いえ。では編成を訂正しておきます」
…審神者として、いけない感情なのかもしれない。
本丸でのお役目に集中しているつもりでも、長谷部さんと過ごしていると、彼ともっと一緒にいて、もっと近くにいたくなる。
もっと…。
「長谷部さん。あの、お茶を飲まれていきませんか。皆さんとのご宴会より、少し地味かもしれませんが…」
部屋のすみにあった茶器を用意すると、彼は少し困惑した様子で、目を泳がせた。
「そんな、俺が主にお淹れしますから…」
「ふふ、長谷部さん、出陣お疲れ様でした」
少し強引にお茶を出すと、彼は申し訳なさそうに湯飲みを受け取り、私が自分の分を飲んでから、それに口をつけてくれた。