第17章 ◆番外編4「贈り物」
やがて息継ぎのために熱い口づけは一度中断され、二人の唇に糸が引いた。
分離長谷部はそれをゴクリと見つめる。
主は溶けそうなほど紅潮した顔で、ついに二人の長谷部に好奇心にまみれた提案をする。
「あの…三人でするのはダメですか…? もしお二人が良ければ…私は三人で一緒に気持ち良くなれればと思うのですが…」
「「えっ」」
さすがどちらも長谷部。
同じ声を出し、同じ顔をした。
二人の長谷部も分身への嫉妬より、沸き上がる好奇心が勝っている。
初めて長谷部同士で顔を見合せ、頷いた。
「……主、いいんですか…?」
分離長谷部が尋ねる。
彼にとっては主との初めての夜伽なのに、随分とアブノーマルなことになっている。
主はそれも気遣うつもりで、「したいことをしていただいて大丈夫ですよ」と彼に優しく頷いてみせた。
今夜は三人で夜伽をする。
三人の意思が固まり、それは決定した。
ここからどう進めるか、したいことをしていいとは言いつつも司令塔が必要であることは三人とも何となく分かっていた。
それはおそらく自分しかいないだろう、そう近侍長谷部は覚悟を決め、分離長谷部に抱かれたままの彼女の帯をほどいていく。