第17章 ◆番外編4「贈り物」
長谷部たちはどちらも、分身への嫉妬心を一度忘れることに決めた。
なぜなら今夜はその方が何もかも上手くいくからである。
分離長谷部は、主との夜伽は今夜が初めてであるから、悔しくとも手慣れた近侍長谷部のやり方を真似た方が彼女を満足させられると割り切った。
同じく、近侍長谷部も、今夜は自分が二人いるという利点を上手く使ったほうがいつも以上に彼女を気持ち良くできると判断し、分離長谷部の手を借りることが得策だと考えたのだ。
近侍長谷部の手によって、主の着物がすべて剥かれていく。
手の空いている方の長谷部は主と口づけを続けて次の展開を大人しく待っているが、初めて目にする彼女の裸に目が泳いでいる。
まず、近侍長谷部が主の乳首をひとつ口に含んだ。
─ちゅ……─
「んっ…」
分離長谷部と口づけをしつつも、主は胸の刺激にすぐに反応する。
近侍長谷部は慣れたように口の中で胸先を転がし、舌でぐりぐりと押し潰した。
「んぁ…あっ…」
聞いたことのないほど甘い主の喘ぎ声に、分離長谷部は口づけをしながら下半身を膨張させている。
いつもなら、彼女の胸への刺激は、こうして片方を舌で刺激し、もう片方を指でいじる。
しかし長谷部は、彼女は舌での刺激のほうが好きだと知っていた。
今夜は長谷部が二人いる。
舌も二つあるのだ。
「……おい」
近侍長谷部は、分離長谷部へと視線をやった。
「もう片方をお前が舐めろ」と。