第17章 ◆番外編4「贈り物」
威勢が良かったはずの近侍長谷部も、自分以外との口づけに酔いしれる主を見て、どんどん元気がなくなっていく。
部屋の角に体育座りでもしてしまいそうな暗い顔つきになり、これには主も今度はこっちの長谷部が心配になった。
一度口づけをやめ、近侍長谷部にも声をかける。
「…長谷部さんも、しますか…?」
近侍長谷部はパチリと目を開け、口づけしていた分離長谷部は「そんなっ」と慌てだす。
主はかまわず、手招きして近侍長谷部も近くに呼び寄せた。
分離長谷部に抱かれながら、彼女は近侍長谷部の手を握って引き寄せ、今度はそっちと口づけをする。
まさしく両手に長谷部状態の主。
ここまでくると、彼女はもはやこの状況を楽しみつつあった。
「…んっ…主っ…」
─ぴちゃ…ぴちゃ…─
近侍長谷部は、分離長谷部に見せつけるように、主と激しい口づけをしてみせる。
唇にかみつき、舌を絡め、そして歯列をなぞる。
それは主との口づけに慣れない分離長谷部はまだ会得していない技ばかり。
しかしそれについて嫉妬もあるが、そんな刺激的なことがこうも至近距離で繰り広げられては、分離長谷部の興奮はよけいに増長していくのだった。