第16章 ◆番外編3「見合い」
─ちゅ…ちゅ…─
「ん…んっ…長谷部さ…」
「ハァッ…俺がそんなことを思うわけがないでしょうっ…」
「じゃあ…どうして…」
熱い息をしながら、長谷部さんは私と額をくっつけて、じっと目を見つめてくる。
彼の綺麗な目に見つめられると、意識がぼうっとする。
「ずっと考えていたんです。主はどんな気持ちで見合いをしたのか…報酬のためなら、俺のことなど気にも留めて下さらないのかと…。俺ばかりが主を想っているだけなのかと悲しくて、相手の男への嫉妬で狂いそうで…あの日は自分を抑えられず、貴女に酷いことをしました」
酷いことというのは、お見合いの会場で私を弄ったことだろう。
たしかにあのときはいつもの長谷部さんではなかった。
「長谷部さん…」
「帰ってからもそうです。主に酷いことをしてしまいそうで…口づけをしてしまったら、自分を止められる自信がありませんでした。…貴女が泣くまで、めちゃくちゃに抱き潰してしまいそうで」
めちゃくちゃに抱き潰す、と言われ、私は身体の奥底から熱くなった。
その熱は食道を上がってきて、はぁはぁという荒い息となって私の興奮を盛り上げていく。
めちゃくちゃに抱かれたっていい。
長谷部さんにそんなふうに求められたい。