第16章 ◆番外編3「見合い」
「…あの…私…私…」
どうしよう…言葉が出てこない…。
長谷部さん、どう思ったかな…。
お守りがないと心配でお見合いまでするなんて、審神者失格だと思われちゃったよね…。
長谷部さんはゆっくりと私の前に膝をついた。
視界にそれが入ると、私は目を瞑って硬直する。
すると、怖くて縮こまる私を長谷部さんは抱き寄せた。
背中に手を回されつつ、お守りを持つ手をぎゅっと握られる。
「…長谷部さん…」
「主…申し訳ありませんっ…事情を知らずに、主に酷いことを…」
耳元で謝罪をされ、私は首を横に振った。
「違うんです…私がちゃんとお話しなかったから…」
「いえ。主が悩んでいることに気付けなかった俺の責任です。近侍としても、…恋人としても。貴女の不安をそのままにしてしまいました。…このお守りは、ありがたくいただきます。もう主を不安にさせないように」
長谷部さんは私の手に指を絡め、握っていたお守りを受け取ってくれた。
受け取ってもらえた安堵で私は長谷部さんの胸の中にすがり付き、また泣いてしまった。
「長谷部さん…」
「…主…」
─ちゅ…─
優しく口づけをされ、私は待ちに待った感覚に感動し、唇を押さえて彼を見た。
「…私…もう…口づけしてもらえないかと思いました…」
「え?」
「さっき、断られてしまったので…男の人と会った私なんて、もう汚いと思われちゃったのかな、って…」
「なっ…」
すると長谷部さんは、せきを切ったように激しい口づけをする。