第16章 ◆番外編3「見合い」
「これは…お守り?」
小さな木箱を開け、お守りをぶらりと取り出すと、燭台切さんはそれと私を交互に見比べている。
「はい…。いつもいつも、お願いばかりで申し訳ありませんが……それを、長谷部さんに渡してくれませんか?」
「え? 僕が?」
「もう長谷部さんは、私からじゃ受け取ってくれないと思います…。私は、嫌われちゃったからっ…」
自分でそう言いながら、口づけを拒まれたことを思い出してさらに涙が溢れてくる。
きっと、私のことを汚いと思ったんだと思う。
他の男の人と黙って会ったなんて、姑息で卑怯な女だって。
いつも私のことを綺麗って言ってくれていたから、きっと余計に幻滅されちゃったんだ…。
「そんなわけないよ! ていうか、主、これどこで手に入れたの? 長谷部くんは資材優先にしてるから、お守りを買う資金はまだ貯まってないよね?」
「…それは…」
「……主、まさか…この間のお見合いの報酬って…これだったの?」
目の前にお守りを見せつけられてそう問い詰められると、私は黙ってうつ向くしかなかった。
卑怯なことをして手に入れたお守り。
それを燭台切さんにも咎められている気がした。