第16章 ◆番外編3「見合い」
──コンコン
「主? いるかい?」
泣き腫らしていると、障子を叩かれ、燭台切さんがやってきた。
目を擦りあげてから「はい」と返事をすると、中に入ってきた燭台切さんは目を腫らした私を見てギョッとしている。
「あ…大丈夫? 主。夕食いらないって言うし、どうしたのかなと思って…。…長谷部くんと、まだ仲直りできてないの?」
「…はい…」
どうやら心配して来てくれたみたい。
燭台切さんは気遣いができるぶん、私は甘えてしまい迷惑をかけっぱなしだ。
「………ごめんなさい、燭台切さん」
「いや…僕こそ見合いに立ち会えなくて悪かったと思ってるよ。…でも、ごめんね、やっぱり秘密にはできなくて」
「いえ。…燭台切さんが正しかったです」
燭台切さんは私と向き合って腰をおろし、また涙が止まらなくなった私の頭を優しく撫でてくれる。
「長谷部くんも心配してるよ。さっきも、主の夕食を取り分けてとっておくように言われたし。…きっと、もう一度ちゃんと話せば分かってくれるんじゃないかな」
…長谷部さん…。
こんなことがあっても、私のことを気にかけてくれるなんて…。
私はなんてことをしてしまったんだろう…。
「ううっ…燭台切、さん…私…」
ぼろ泣き状態の私は燭台切さんにすがるつもりで、お守りの箱を差し出した。