第16章 ◆番外編3「見合い」
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お見合いを終えて戻った本丸には、後ろめたい気持ちでいっぱいになった。
長谷部さんは馬小屋に行ってからすぐに自室へと戻ってしまい、私は一人で部屋で着替える。
その不穏な空気を皆さんも感じ取っているのか、私たちの顔色を伺っているようだった。
…唯一事情を知っている燭台切さんは、私を見るたび、とても残念そうで…。
長谷部さんを裏切ることは、本丸の皆さんにも心配をかけているということをやっと理解した。
私だけが動けば、何も変わらないと思っていたのに…。
夜になり、「おやすみなさい」と部屋まで挨拶に来てくれた長谷部さん。
その日は何も聞かれなかった。
私も、聞かれなければ言いづらくて、何も言えない。
それに、よく考えてみれば、長谷部さんのお守りがほしかったというのは理由にも何もなっていない。
刀としての長谷部さんを信じてあげられず、恋人として裏切って……それは全部長谷部さんのためだったんですよ、なんて都合のいい話。
全部私のせいだ。
審神者として未熟で、大切な人を裏切らないとお守りさえ手に入らない状況にしていたのは私。
だから、何も言い訳なんてできない。
…触れ合うことも、今夜はもちろんなかった。