第16章 ◆番外編3「見合い」
死角になって気付かれないのをいいことに、長谷部さんの手は私の太ももへと移動し、ゆっくりと撫でていく。
「…っ…」
「よく考えたら俺、ポケ子ちゃんなら全然アリだなぁ」
「…はは…」
正直、先輩さんの話は全然頭に入ってこない。
とても冗談に付き合うなんてできなくて、苦笑いでやり過ごすのが精一杯だった。
「どう? 俺なんて」
先輩さんが、そう言ったときだった。
長谷部さんの手が、着物の上から足の間を刺激してきたのだ。
「…っ…」
こんなことされたら、声が出ちゃいそうっ…。
あまりに大胆な触り方にこれ以上はまずいと判断し、私は長谷部さんの手を掴んで立ち上がった。
「あの、先輩さんっ…私、ちょっと着物が崩れてしまったので直してきます!」
「そ、そう? じゃあ隣の部屋使って…」
「はい! お借りします! 長谷部さんにも手伝ってもらうので一緒に失礼しますね!」
「…え、直してもらうの? …それはどうなんだ?」
私は襖の向こうの部屋に長谷部さんを引っ張っていき、中へと入った。