第16章 ◆番外編3「見合い」
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仕出しの食事をいただきながら、先輩さんとは過去の話や今の本丸の話をした。
乱さんはたまに明るく会話に交じるものの、私の隣にいる長谷部さんは静かに座っているだけで、一言も話そうとはしない。
話が落ち着いてきたとき、先輩さんは私をじっと見て言った。
「…しかし、ポケ子ちゃん、一人前になったよね」
「本当ですか?」
「うん。それにねぇ、綺麗になったよ。いい女になった」
先輩さんから言われるとは思っていなかったことを言われ、私は冷や汗が出てきた。
…長谷部さんの前であまりそういう話はしたくないのに。
「あはは…ありがとうございます」
「お見合いなんだし、せっかくだから口説いちゃおうかなぁ」
今はそういうこと言わないで先輩さん…!
からかってるって分かるけど…!
苦笑いでやり過ごそうとしていると、机の下で、膝の上にあった私の手を長谷部さんの手が握ってきた。
「…っ」
長谷部さん…また…。
目の前に先輩さんと乱さんがいるし、反応してはだめだ。怪しまれてしまう。
ちらっと長谷部さんの顔を横目で確認しても、変わらず澄ました表情である。