第3章 ◆甘い口付け ★★☆☆☆
「昨晩はお疲れ様でした。ちょうどよかったです。長谷部さんもいらっしゃるので、ぼくのほうで集めた情報をお伝えします」
「情報?」
「はい。突然の通達でしたので、どの本丸でも混乱状態となっているようです。近侍の座の奪い合いが起きた本丸や、通達に背いて実践しなかった本丸、はたまた乱交騒ぎとなる本丸まで…。
こんのすけは、無事に一夜目を終えた主さまと長谷部さんに安心しました。さすがは息の合ったお二人です!」
「…そ、そうかな…?」
息が合ってても、とても平然とできることじゃないんだけど…とツッコミを入れたくなった。
ちらりと長谷部さんを見ると、目があって、少し照れくさくて目を逸らす。
「これで本当に、主に俺の力をお貸しできているのか?」
長谷部さんはこんのすけさんに問いかけた。
「もちろんです。実は一部、力の弱まりが顕著な本丸に対しては、この通達はもっと前に送られていたようでして、すでに効果が確認されております。その本丸から、今後の通達の情報を入手してきました」
私と長谷部さんは顔を見合わせた。
今後の通達。
それについては今は、何も分かっていない。これからどんな手順を踏んでいくのか。そしていつまで続くのか…。
「まず、夜伽の指示は二日に一度ございます。指示がないのに触れ合うことは禁止です。晩の通達を確認したのちに速やかに行ってください。時間に定めはありませんが、長く時間をかけられたほうが効果は高まります。また、魂を高めるためには通達された手順を厳格に守るように、とのことです」
「…手順を破ればどうなる」
こんのすけさんの話に、長谷部さんはなぜかそう質問をした。