第16章 ◆番外編3「見合い」
私の剣幕にたじろぐ燭台切さん。
つい「主命です」と付け足して言ってみたけど、それは長谷部さん以外にはそれほど効果はなかった。
「えー…」
「お願いします! 当日向こうの本丸に一緒に行って、同席していただくだけでいいんです!」
「…なんか長谷部くんを裏切ってるみたいでさぁ…。ていうか、主、それって…そんなにその男に会いたいってことなの?」
そうじゃない。
でも…今はなんて説明したらいいのか…
「………み、皆さんには分からないかもしれませんが…審神者同士の繋がりも大切なんです。…一日会うくらい、いいじゃないですか…」
すごくらしくないことを言っている自覚はある。
全然そんなこと思ってないし、本当は長谷部さんを悲しませるようなことはしたくない。
だいたい、一日長谷部さんと離れるだけでも寂しいのに…。
しかし私の身勝手な言葉を聞いた燭台切さんは、怪しむを通り越して引いているような表情をしていた。
「………わかったよ、主。僕には止める権利はないし…好きにするといいと思うよ。当日は上手いこと言って長谷部くんと近侍は代わっておくから」
「…すみません…燭台切さん…」
「僕に謝られてもね」
燭台切さん、怒ってる…。
お守りが手に入ってからちゃんとお話しよう。
それまでは心配かけちゃうけど…仕方ないよね。
ごめんなさい、燭台切さん、長谷部さん…。